放課後等デイサービスは他業種からの新規参入が多い児童福祉サービスですが、サービスの提供レベルを保つために人件費をどの程度投資するかや、限られたターゲットにどうアプローチするかなど運営・集客上の疑問が多々あると思います。
今回は、放課後等デイサービスのサービス形態である一般的な放課後等デイサービス(以下一般放課後デイ)と重症心身障害児向けの放課後等デイサービス(以下重心放課後デイ)について、フランチャイズ本部を運営する放課後デイGrannyが人件費や集客方法などの運営について経営者の疑問に答えていく形式の動画を解説します。
参考元:【運営】重心放デイ VS 一般放デイ|運営について人件費や集客の方法って何がいいんですか?|YouTube
目次
1.放課後デイの人件費
2.放課後デイを安定して運営するための集客方法
2-1.安定した運営のためには利用者数を揃える 2-2.放課後デイの最適な集客方法 3.放課後デイの投資回収にかかる期間 4.放課後デイの損益分岐点 5.まとめ
1.放課後デイの人件費
飲食業などの他業種では売上の30%を目標にされる人件費ですが、福祉サービスである放課後デイの場合の人件費もだいたい同じくらい必要だと考えていれば間に合います。
放課後デイでは商品を販売するのではなくサービスを提供する形態のため、人件費≒原価となっており、他業種と比較して商品代金分の原価を抑えやすいメリットがあります。
放課後デイでは常勤の児童発達管理支援管理責任者(以下児発管)1名がいることが必要条件になっており、児発管の平均給与は地方か都心かによって若干異なります。
地方 | 22万~27万円 |
都心 | 29万~35万円 |
また、正社員保育士の平均給与は以下の通りです。
地方 | 18万~22万円 |
都心 | 22万~28万円 |
地方の方が人件費が数万円安くなるので、人件費に関しては地方の方がやや負担が軽くなっているのが現状です。
次に一般放課後デイと重心放課後デイの人件費を比較します。一般放課後デイと重心放課後デイでは必要な人員配置が異なります。
1名必要(常勤) | 児発管 | 1名必要(非常勤でも可) ※開設自治体による |
基本2名以上、内1名は正社員 | 保育士/児童指導員 | 全員パートも可能 |
基本3~4名 | 正社員数 | 0名でOKの場合あり (Grannyモデルは1名必須) |
一般放課後デイでは受け入れる児童数の定員が多いため必要とする正社員が増え社会保険料の費用が膨らみがちですが、重心放課後デイでは社会保険加入は正社員採用した児発管等のみで良いため、社会保険料の費用を抑えられます。
2.放課後デイを安定して運営するための集客方法
福祉事業は地域に根付いた運営がなによりも重要であるため、集客方法も考えていかねばなりません。一般放課後デイと重心放課後デイとで集客の内容に差はあるのでしょうか。
一般放課後デイ | | 重心放課後デイ |
10名~ | 1日の定員 | 5名~ |
30~40人 | 安定稼働させるための利用者数 (契約者数) | 10~13人 |
安定した運営のためには利用者数を揃える
放課後デイは利用者が固定でない「通い」のビジネスのため、安定した運営のためには定員の3〜4倍の利用者を確保しておく必要があります。一方、重心放デイも「通い」のビジネスではありますが、Grannyモデルの加盟店は実際のところ定員の2〜3倍の利用者数で安定しています。
大きな違いではないように思えますが、数字に表してみると、一般放課後デイは30〜40人、重心放課後デイは10〜13人の利用者数になるため、集客の負担割合は明らかです。重心放課後デイは一般放課後デイよりも少ない利用者数で安定するので、集客の難易度が下がります。
放課後デイの最適な集客方法
放課後デイのような福祉事業の主な集客方法は、相談支援事業所と呼ばれる地域でのくらしを支援するためのサービスや生活福祉に関する相談を受けている事業所への営業活動です。
営業活動以外の方法では、放課後デイは店舗型ビジネスであるためにチラシが効果的といった意見や、ホームページの方が問い合わせをもらいやすいという意見がありますが、実際はInstagramやFacebookなどのSNSを運用するのが一番効果的です。現代では口コミが重要視されており、口コミの良さによって来客数が変化したりGoogleのアルゴリズムに評価されやすかったりと、ホームページ以上にSNSが重要です。
店舗型ビジネスのウェブ集客で最重要ポイントとなるのがMEO対策です。Google等で「○○市 放課後等デイサービス」と検索したときに検索結果画面で真っ先に表示されるのがGoogleマップです。「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」というツールで、店舗経営者であれば無料で登録ができます。Googleビジネスプロフィールを登録し、Googleマップで上位表示されるために対策をすることをMEO対策と言います。
Googleビジネスプロフィールでは、店舗情報や写真の掲載以外にも、ユーザーの口コミ評価が表示されるため、ユーザーの興味関心度を高める効果も期待できます。そのため、Googleビジネスプロフィールを編集し、検索上位に表示されやすくするMEO対策が放課後デイのウェブ集客では最重要ポイントとなるのです。
3.放課後デイの投資回収にかかる期間
投資回収にかかる期間は利益率に比例します。ここでは、一般放課後デイと重心放課後デイの投資回収にかかる期間を見ていきます。
一般放課後デイ | | 重心放課後デイ |
30% | 利益率 | 40% |
1500万~2000万円 | 初期投資額 | 1000万円 |
1年半~2年 | 回収期間 | 1年半 |
一般放課後デイでは30%程度の利益率ですが、重心放課後デイでは人件費がかかりにくい点から利益率が40%前後になります。初期投資額も重心放課後デイの方が抑えられるため、売上自体は一般放課後デイより少なくても回収までにかかる期間は短いです。
4.放課後デイの損益分岐点
一般放課後デイ | | 重心放課後デイ |
70%(1日7名) | 稼働率 | 50%(1日2.5名) |
21~30名 | 利用者数(契約者数) | 5~7名 |
300万円 | 売上 | 250万~270万円 |
両放課後デイで単価や人件費が異なるので、一般放課後デイでは70%の稼働率が必要なところを重心放課後デイでは50%の稼働率で済みます。一般放課後デイでは利用者数の損益分岐点のハードルが高く感じますが、重心放課後デイでは定員も少ないため、損益分岐点のハードルが低いです。売上では一般放課後デイの方が上ですが、重心放課後デイの方が全体を通してハードルが低いと言えます。
5.まとめ
今回はGrannyの重心放課後等デイサービスと一般放課後等デイサービスとを比較し、人件費や集客方法などの運営事情について解説した動画を紹介しました。一般放課後デイの開業の難易度に悩まれている方は、重心放課後デイの強みも理解したうえで、参入していくのもよいでしょう。
参考元:【運営】重心放デイ VS 一般放デイ|運営について人件費や集客の方法って何がいいんですか?|YouTube
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