放課後デイサービスでは、原則1名の児童発達支援管理責任者を配置しなければなりません。施設運営の中心的役割を担うため、児童発達支援管理責任者の存在は重要なものになっています。
本記事では、児童発達支援管理責任者欠如の条件や減算の単位数を詳しく解説します。
目次
1.児童発達支援管理責任者欠如による減算対象の条件
2.児童発達支援管理責任者欠如による減算の基準
3.児童発達支援管理責任者欠如による減算の割合
4.児童発達支援管理責任者欠如による事例
4-1.児童発達支援管理責任者欠如減算の際の算定額
5.児童発達支援管理責任者欠如による影響
6.減算にならないための人員管理が大切
1.児童発達支援管理責任者欠如による減算対象の条件
放課後デイサービスの報酬額は、厚生労働省が定める「単位」をもとに計算されます。1単位あたりの金額は、各自治体によって異なりますが基本的には1単位10円で計算されることが多いです。
放課後デイサービスでは、児童発達支援管理責任者の人員が欠如することで報酬額を決める「単位」が減算となります。児童発達支援管理責任者を1名配置していない場合、児童発達支援管理責任者欠如減算の該当に当たります。児童発達支援管理責任者欠如減算は、全利用者が対象です。
また、児発管が不在で個別支援計画の作成が行えない場合は、個別支援計画未作成減算も対象に当たることがほとんどです。児発管の資格要件を満たさない人が個別支援計画を作成している場合や、基準の規定に従って適切に計画が作成されていない場合に対象となります(6ヶ月に1回以上計画の見直し・モニタリングが行われていない場合を含む)。
そして、児発管がいなければ個別支援計画を作成できないので、新規のご利用問い合わせが保護者さんからあっても、支援開始できません。
2.児童発達支援管理責任者欠如による減算の基準
減算基準は以下のとおりです。
原案を児童発達管理責任者が作成していない場合
原案作成時に担当者会議などを実施していない、またはその記録が残されていない場合
原案を児童発達管理責任者が、お子さま、保護者さまに説明し、署名等による同意を得ていない場合
同意の得られた個別支援計画を交付していない場合
3.児童発達支援管理責任者欠如による減算の割合
それでは実際に、児発管がいないことで減算される単位はどのくらいになるのでしょうか。児童発達支援管理責任者欠如による減算の単位は、退職の翌々月から3割減算、3割減算開始の5か月目以降(実質退職6ヶ月目以降)からは5割減算になります。6ヶ月目以降は人員欠如の状態が解消されるまで5割減算が継続されます。ただし、まれに自治体によって見解が異なるので、児発管が不在になった場合の欠如減算の取り扱い開始時期については、自治体に確認をとりましょう。
個別支援計画未作成減算においては、計画未作成月から3割減算つまり児童発達支援管理責任者が欠如した月から減算対象です。3ヵ月目からは児童発達支援管理責任者が配置される前月まで5割減算になります。
4.児童発達支援管理責任者欠如による事例
児童発達支援管理責任者欠如による、減算後単位数を事例を挙げて紹介します。
児童発達支援管理責任者が12月末で退職、1月1日から欠如状態(1月から欠如)となった場合(基本報酬1,756単位をベースとする)
| 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
単位数 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 | 1,756 |
児発管欠如減算 | なし | なし | なし | ×70% | ×70% | ×70% | ×70% | ×50% | ×50% |
計画未作成減算 | なし | なし | ×70% | ×70% | ×50% | ×50% | ×50% | ×50% | ×50% |
減算後単位 | 1,756 | 1,756 | 1,229 | 860 | 614 | 614 | 614 | 614 | 614 |
【減算の算定期間】
・児童発達支援管理責任者欠如減算:欠如の翌々月(3月)から
・個別支援計画欠如減算:在籍時点で1月分の個別支援計画を実施していれば、計画が作成できない2月から
児童発達支援管理責任者欠如減算の際の算定額
実際に減算された場合の算定額も事例をもとに、ご紹介します。
平日のみ(22日)開所している定員5人の放課後デイサービスで、児童発達支援管理責任者の欠如による減算適用2ヵ月目の状況です。減算後の報酬額の計算は以下の通りです。
※地域単価は10円/単位として計算します。
(1ヶ月営業した場合の単位数×減算率)×利用回数×利用者数×地域単価=減算適用後の獲得報酬
通常:1,756単位 ×22回 ×5名 ×10円 =1,931,600円
減算適用:(1,756単位×70%) ×22回 ×5名 ×10円 =1,352,120円
5.児童発達支援管理責任者欠如による影響
児童発達支援管理責任者は、放課後デイサービスを利用する子どもたちの個別支援計画書の作成やモニタリングを行う重要な専門職です。児発管が不在になると、個別支援計画書を新たに作ることが出来なくなり、新規の子どもの受け入れが出来ません。また、すでに放課後デイサービスを利用している子どもたちのモニタリングも行えません。そのため、6ヶ月に1回と定められている支援計画の見直しも行えなくなってしまいます。
このように、児発管の不在は放課後デイサービスにとって大きな影響を与えるため早急に人員の確保を行うことが求められます。
6.減算にならないための人員管理が大切
放課後デイサービスで1名以上の配置が必要な児童発達支援管理責任者が不在の場合、減算の対象となります。人員が欠如した翌々月から減算となり3ヶ月〜6ヶ月の間は3割減算・6ヶ月目以降は5割減算されます。
児童発達支援管理責任者がいないことで、新規の子どもの受け入れが出来ないことやすでに利用している子供たちの支援計画の見直しが行えないなど影響範囲は大きいです。また、減算になることで、自治体からの報酬額が減ってしまうため人員はしっかり管理するようにしましょう。
Comments