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執筆者の写真おぐ先生(小倉 丘礼)

【令和4年】放課後等デイサービスの常勤換算の算出方法を解説


児童指導員等加配加算

放課後等デイサービスの売上のうち、約9割が国・自治体の公金によってまかなわれます。児童ひとりが利用した際に発生する基本報酬のほかに、児童の支援を充実させるために専門職員を必要数以上配置した場合、加算によって報酬を得ることができます。加算にはさまざまな種類があり、それぞれの算定要件も細かく定められています。


この記事では、児童指導員等加配加算の算定要件や注意点について詳しく解説していきます。

目次

1.放課後等デイサービスの人員配置基準とは

2.放課後等デイサービスの報酬決定の仕組み

3.児童指導員等加配加算とは

 3-1.児童指導員等加配加算の対象となる職種

 3-2.加算される単位数

4.算定にあたっての注意点

 4-1.配置する職員の職種が異なる場合の報酬額

 4-2.特別支援加算と重複して算定できない

 4-3.常勤換算・休暇をとっている場合の対応

5.児童指導員等加配加算の算定例

6.児童指導員等加配加算を算定するメリット

 6-1.質の高いサービスを提供することができる

 6-2.報酬額の増額が見込める

7.まとめ

1.放課後等デイサービスの人員配置基準とは

児童指導員等加配加算

放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいて許認可される事業であり、児童が安全に過ごせる場所を提供するために、従業員の人員配置基準が定められています。


人員配置基準では、利用定員に対する従業員の人数や資格、勤務形態等が定められており、人員配置基準を満たしていない場合、改善指導が入ったり、報酬が減額となる場合があります。


放課後等デイサービスの人員配置基準については「放課後等デイサービスにおける人員配置|必要な人数や資格を解説」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。


一方で、児童の支援を充実させるために十分な人員配置をし、質の高いサービスを提供することで、人員基準加算の算定による報酬額の増額が見込めます。


2.放課後等デイサービスの報酬決定の仕組み

放課後等デイサービスではサービスを提供した事業所が得る売上のうち、約9割が国・自治体の公金によってまかなわれています。放課後等デイサービスにおける報酬額は、厚生労働省によって定められた「単位」をもとに計算されます。基本的には1単位=10円として計算されますが、1単位当たりの金額は自治体ごとに「加算率」として定められており、事業所の地域によって異なるためそれぞれで確認が必要です。


放課後等デイサービスの報酬の仕組みについては「【令和4年度版】放課後等デイサービスの報酬・単価の仕組みを解説」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。


3.児童指導員等加配加算とは

児童支援の強化を図るために、人員配置基準で定められた人数に加え「理学療法士等」、「児童指導員等」、「その他の従業者」を常勤換算で1名以上配置することにより、児童指導員等加配加算を受けることができます。


1.児童指導員等加配加算の対象となる職種

児童指導員等加配加算の対象となる職種は、「理学療法士等」「児童指導員等」「その他の従業者」です。

加算

対象職種

理学療法士等

  • 理学療法士

  • 作業療法士

  • 言語聴覚士

  • 心理指導担当職員

  • 保育士

児童指導員等

  • 児童指導員

  • 強度行動障害支援者養成研修の修了者

  • 重度訪問介護従事者養成研修の修了者

  • 行動援護従事者養成研修の修了者

  • 手話通訳士

  • 手話通訳者

その他の従業者

  • 障害福祉サービス経験者

  • 看護職員

  • その他の従業者

2.加算される単位数

児童指導員等加配加算にて算定できる単位数は、放課後等デイサービスの種類や利用定員、加算の対象となる職種によって異なります。重症心身障害児向けの放課後デイでは、放課後と休校日にかかわらず、職種によって一定の単位が決められています。

理学療法士等

374単位

児童指導員等

247単位

その他の従業者

180単位

人員体制として、基準以上の配置(常勤換算で1名以上)が達成できれば、自治体に届け出ののち、加算を取得できます。そして、基準以上の配置(常勤換算で1名以上)が達成している限り、継続的にお子さん1人あたりで毎営業日加算されます。


4.算定にあたっての注意点

児童指導員等加配加算を算定するにあたっての注意点と、考え方の例を解説します。


1.配置する職員の職種が異なる場合の報酬額

職種が異なる従業員を複数人配置(複数人でも常勤換算で1名以上の配置)して児童指導員等加配加算を算定する場合は、加算される単位数の区分は以下のように設定します。

※下記の(例)は常勤者(≒正社員・フルパート)の勤務時間を40時間/週とした場合


●「理学療法士等」と「児童指導員等」を配置→「児童指導員等」の単位を加算

 (例)・理学療法士Aさん:週に24時間(3日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:24時間 ÷ 40時間 = 【0.6名】と換算

    ・児童指導員Bさん:週に16時間(2日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:16時間 ÷ 40時間 = 【0.4名】と換算

    【合計:1名】となり「常勤換算で1名以上」をクリア


●「理学療法士等」と「その他の従業者」を配置→「その他の従業者」の単位を加算

 (例)・保育士Cさん:週に32時間(4日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:32時間 ÷ 40時間 = 【0.8名】と換算

    ・無資格Dさん:週に8時間(1日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:8時間 ÷ 40時間 = 【0.2名】と換算

    【合計:1名】となり「常勤換算で1名以上」をクリア


●「児童指導員等」と「その他の従業者」を配置→「その他の従業者」の単位を加算

 (例)・児童指導員Eさん:週に16時間(2日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:16時間 ÷ 40時間 = 【0.4名】と換算

    ・看護師Fさん:週に24時間(3日/週・8時間/日)勤務

      → 常勤換算:24時間 ÷ 40時間 = 【0.6名】と換算

    【合計:1名】となり「常勤換算で1名以上」をクリア


2.特別支援加算と重複して算定できない

放課後等デイサービスにおける人員基準加算の1つに、特別支援加算があります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員、看護師、視覚障害者の生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修を修了した者といった専門職を配置し、機能訓練や心理指導を行うことで算定できる加算です。


児童指導員等加配加算を「理学療法士等を配置する場合」で算定している場合は、特別支援加算を算定することができないので注意が必要です。


3.常勤換算・休暇をとっている場合の対応

常勤換算とは、その事業所で働いている非常勤職員の勤務時間をすべて合計し、常勤職員何人分の勤務になるかを算出したものです。常勤職員とは、雇用形態に関係なく、「正社員の勤務時間」に達していれば、パートでも常勤職員として換算します。非常勤職員は、正社員の勤務時間よりも短い時間で働く人のことをいいます。


非常勤職員の常勤換算は、「非常勤職員全員の1か月の勤務時間÷常勤職員の勤務時間」で計算できます。


例えば、勤務時間が週40時間の事業所で、正社員2名、パート4名の計6名が働いている場合は次のようになります。

週勤務時間

常勤・非常勤

常勤換算

正社員Aさん

40時間

常勤

1名

正社員Bさん

40時間

常勤

1名

パートCさん

40時間

常勤

1名

パートDさん

16時間

非常勤

16÷40=

0.4名

パートEさん

24時間

非常勤

24÷40=

0.6名

パートFさん

8時間

非常勤

8÷40=

0.2名

上記の場合、事業所としての常勤換算人数は

「1 + 1 + 1 + 0.4 + 0.6 + 0.2=【4.2名】」となります。


また、常勤の従業員の場合は、有給休暇や出張の場合も勤務時間として計算されますが、非常勤の従業員の場合は、本来の業務に携わっていない時間は勤務時間に含めることができません。さらに常勤・非常勤に関わらず、産休・育休など、1か月間をこえる休暇をとっている場合は勤務時間として計算できません。


5.児童指導員等加配加算の算定例

児童指導員等加配加算を算定することで、実際にどれぐらいの報酬を得ることができるか、例を挙げて見てみましょう。

地域係数を1単位=10円として計算します。


定員5名の重症心身障害児特化型の放課後デイにおいて、通常の人員基準とは別に【保育士】を常勤換算で1名配置した場合


※計算式※

職種別単位 ×1日平均児童数× 月営業日数月間加配加算報酬額

3,740円 × 1人 × 26日【97,240円】

1日あたりの平均利用児童数(稼働率)

月間加配加算報酬額

1人(20%)

97,240円

2人(40%)

194,480円

3人(60%)

291,720円

4人(80%)

388,960円

5人(100%)

486,200円

児童指導員等の従業員を1名充実させると、基本報酬に加え、上記のような報酬が追加されます。


6.児童指導員等加配加算を算定するメリット

児童指導員等加配加算を算定するにはさまざまな要件がありますが、算定することで利用者にとっても、事業所にとってもメリットが得られます。そのメリットについて解説していきます。


1.質の高いサービスを提供することができる

児童指導員等加配加算の算定の対象となる従業員は、実際に児童のケアを行う機会が多い職種です。専門職を多く配置することで質の高いサービスを提供したり、専門性の高いプログラムを行うことができるようになり、児童により充実した支援を提供できるようになります。それにより、他の事業所との差別化にもつながり、集客力の向上も見込めるなど良い連鎖が生まれます。


2.報酬額の増額が見込める

定員5名の重症心身障害児特化型の放課後デイにおいて、「理学療法士等」の区分で児童指導員等加配加算を算定した場合、1単位=10円とすると、1日当たり3,740円の報酬の増額が見込めます。障害福祉サービス費等の改定により、基本報酬額が減額傾向となっている中、報酬を得るには加算を算定することが今後の放課後等デイサービスの運営に重要となっています。


7.まとめ

児童指導員等加配加算

放課後等デイサービスにおいて、児童指導員等加配加算を算定するには、資格や勤務時間などの要件が定められています。加算を取得しサービスを充実させることで、集客や報酬額の増加も見込めます。


もし児童指導員等加配加算を算定している中でお悩みのことがあれば、放課後デイGrannyにご相談ください。フランチャイズ展開をしていく中で培ったノウハウや、最新の行政情報を持っているため、あなたのお悩みを解決できるかもしれません。

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